看護師長
根岸病院は患者さんと看護の距離が近かった
| 他の精神科病院から転職をした 荒井千恵子師長の場合 |
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都内の精神科の病院に17年勤務したのち根岸病院に来て、現在は高齢者療養病棟の師長を務めています。長年勤めていた病院を退職したのは、看護学校を卒業して以来ずっとその病院しか知らなかったので、井の中の蛙になってしまいそうな不安があったからです。より成長するためには新しい挑戦をしなければ、そんな思いがありました。
根岸病院に来て最初に感じたのは、患者さんと看護の距離が近いということですね。以前の病院では急性期病棟の担当が長かったんですが、そこでは何が起こるかわからないので看護する側もちょっと構えているところがありました。この病院の急性期病棟では、患者さんと看護師がたわいもない会話を交わしていたりする場面が、前の病院よりも目立っていたのが印象的でしたね。
現在、師長として看護師の取りまとめ役を務めるほか、おもに管理業務を行っています。けれどやはり看護師として患者さんのところにも行きたいので、今もお風呂の介助や排泄の世話など、できる限り関わるようにしています。
自分を磨き、自立心のある看護師になってほしい
一看護師として働いていた頃は自分の意見を自由に言っていましたが、今はそういう声を吸い上げてまとめる役割なので、どちらかといえば聞き役です。全員一致で物事が決まるというのはそうそうありませんから、どこで折り合いをつけるかが難しいところです。
師長としてはスタッフにはどんどん伸びて欲しいので、私のやることを見てヒントになってくれればいいな、お手本になればいいなと無意識に意識しているようなところがあります。言葉のみで「こうするといい」と教えても受け入れにくい人もいるかも知れませんし、なにより自らが経験して、実践して覚えたことはずっと覚えているものです。そうやって自分を磨き、看護師としてどんどん自立していってもらえればと思っています。
また、一般病院の経験者は呼吸器に強いとか循環器に詳しいといった強みがあるので、そういう知識をほかの看護師にも広めてもらうことでも力を発揮してもらっています。
根岸病院で一緒に働きたいと思うのは、精神科に魅力を感じてくれている人です。これはシンプルだけどとても大事なことです。一番働きたいのは精神科だけどほかの科も経験してみたいというのなら、まずは精神科で働き、その次に挑戦すればいいと思います。
精神科に興味はあるけれど怖い患者さんが心配、そんな風に思っている人もいるかもしれません。けれど患者さんが怖いわけではなく、患者さんの抱えている病気がそうさせているのです。そうやって考えると、おのずと恐怖心は薄まるはずです。
精神科では看護師の数だけ看護の方法がある
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精神科のおもしろさ、それは「人」を見られることです。現在の医療は専門分野に細分化されているので、おのずと看護も分業となり、患者さんの体の一部分しか見ません。精神科ではその人すべて、過去から現在、そして未来までをも考えるのです。
また、一般の病院では誰が看護しても同じ看護になります。そうでなければならないから、当然のことです。けれど精神科では、患者さんごとの状態によって治療法が異なるように、看護師によって看護の仕方は変わります。その点も精神科ならではのおもしろさと言えます。
たとえば若い看護師が「師長の真似をしておけば間違いないだろう」と、私と同じ看護をしたとします。けれど経験の差、年の差などにより、それが必ずしも通じるとは限りません。かえって若さを前面に出した看護のほうがうまくいったりするのです。精神科の看護は正解のない世界。看護師の数だけ看護の方法があります。看護師として患者さんと向き合う日が続く限り、誰もが自分ならではの「最善の看護」を追求し続けるでしょう。


