転職者
患者さんは心も体も疲れている
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| 元一般病院勤務 須藤の場合 |
僕は8年ほどオペ室専門で働いていました。
それだけの期間やっていると、オペ室での仕事はひととおり経験するんですね。そこで違うことをやってみたいと思ったこと、それからもともと精神科に興味があったことから、病院を移ることにしました。ただ、病棟の経験がなかったのでまずはその辺をちゃんと勉強してからと思い、精神科でも身体合併症の病棟で約2年働いた後、精神科単科の根岸病院に勤め始めました。でも実際には、根岸病院は研修制度やチーム医療が確立されているので、ステップを踏まず、根岸病院に勤め始めればよかったかなと今では思っています。
現在は急性期治療病棟に勤務していますが、ここは急性期の入院患者さんがどんどん来るところです。病棟は慢性期や開放など症状によってわかれているのですが、この急性期がいわばもっとも一般の方がイメージする「精神科」に近いのかもしれません。
たとえばひどく暴れる人は医師の許可を得て拘束せざるを得ないときもありますが、あれは患者さんが自分自身を傷つける恐れがあるからで、患者さん自身の安全のためなんですよね。そういったケースからもわかるように、この病棟に入院してくる患者さんは心だけでなく、体もくたくたに疲労されていることが多いんです。だからまずはゆっくり休んでもらえる環境を整えることを心がけています。
急性期の患者さんは最初の症状が重い分、よくなっていくのがもっともよく見えます。だから症状が落ち着いて開放病棟に移ったり、あるいはそのまま退院される姿を目にするとうれしいですね。
落ち込んだときは周囲が支えてくれた
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自分で選んで精神科に来たものの、このまま続けられるかと悩んだこともあります。
特に働き出して最初の頃は、患者さんが亡くなるなど悲しい出来事があると自分の仕事を振り返ってみて、もっと自分にできることはなかったのか、どうすればよかったのかなどと考え、落ち込んだり悩んだりしました。
それでも今日までやってこられたのは、周囲の人々のおかげです。ひとりで溜めこまず、スタッフ同士でいろいろ話をすることで乗り越えてこられました。
ちなみに後輩への指導でもっともよく言っているのは、おもに新人に対してですが、くれぐれも薬を間違えないように念には念を入れるようにということです。急性期の患者さんは薬が本当に大事なんですが、患者さん自身に管理はできないので、間違っても分量や薬にミスがないようにと。当たり前のことなんですが、これは本当に重要なことなんです。
僕自身は、患者さんだけでなく患者さんを取り巻く周囲も見つつ看護にあたれるようになってきたかなと思います。要は患者さんの家庭環境とか家族といったことですね。働き始めた当初は目の前の患者さんのことだけで精一杯だったんですが、年を重ねたせいでしょうか、もう少し広い視界で見られるようになってきた感じがします。
看護は特別なことではなく生活の一部
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僕にとって看護とは何ら特別なことをしているわけではなく、生活の一部のような感覚です。
昔はあれこれいろいろ言っていましたが、そんなに仰々しいものでも構えるものでもないんじゃないかなって。母が看護師なので、小さな頃から看護が身近なものとしてあったという環境も影響していると思います。
実はオペ室から精神科に移ると言ったとき、母は「今までのスキルや経験がもったいない」という感じのコメントをしたんですね。その言葉自体は偏見というわけではありませんが、同じ看護師ですら精神科は閉ざされて中が見えない世界だったんです。
その母も今では精神科で働いていて、「前はそんなこと言ったね」なんて笑い話になっています。
精神科での仕事は外からは見えにくいところもあるかもしれませんが、実際に働き出して周囲がよく見えるようになってくると、やりがいを感じられるところ。自分の体験からもしみじみそう思います。



